お遍路・区切り打ち第1回(1)


第1日 2004年5月23日 (1番・霊山寺〜6番・安楽寺)

第一番札所 霊山寺(りょうぜんじ)

1番霊山寺徳島県鳴門市の一番・霊山寺まで車で送ってもらう。午前10時着。ここで線香・ろうそく・納経帳など遍路グッズを購入。さすが一番札所、品揃えが豊富。お値段は相場より少々高いような気もするが、購入した物の使い方など親切に説明してくれるので、まぁカタイことは言うまい。ただ、納経帳は既に納経済みで、お値段も納経料込みというのが少々味気ない。やっぱ、お参りを済ませてからちゃんと納経所へ行きたいなぁ。

本堂と大師堂で灯明と線香をあげ、納札(1巡目なので白)とお賽銭を納め、お経を唱える。お寺でこんなに真面目にお参りするのは初めてだ。実家が真言宗なのでお経は「そら」で言えるが、買ったばかりの教本を見ながら唱える。

ツバメの雛たち納経所&売店の入り口にはツバメの巣がたくさんありました。ここのツバメ、かなりシャイ。直前までピーピー喧しく啼いていたのに、カメラを向けるといっせいに口を閉じておすましポーズ!

ここで送ってくれた家族と別れ、いよいよ一人で遍路の旅へ。いや、お大師さまと同行二人、ふたり旅へ。二番札所へ向けて歩き始める。

約1.4km、15分の道のり。まだ実感も湧かないうちに到着。



第二番札所 極楽寺(ごくらくじ)

2番極楽寺ザックを背負っていると、よく話しかけられる。「歩いてまわってるんですか?」「はい」「一人で!?」「はい」「若いのに偉いねぇ」
あ、いや、そんな若くないし。それに、ついさっき歩き始めたばっかりなので、偉くもなんとも・・・。(大汗)

長命杉境内には樹齢千年を超える大杉「長命杉」がある。
幹には紅白の紐が結ばれており、この紐を握って、杉から霊気を授かるという。何も感じなくても、きっと授かっていると信じて、しばし目を閉じて杉の前に立つ。

お参りを済ませ納経所へ。歩き遍路と知ると、大変親切に道順などを教えてくれた。
「昼食の用意は?」「いや、まだ何も」「この先、遍路道を歩くんなら、食べるもの買えるとこ、ないで。ここで用意しといたほうがええよ」
この後もこの調子で、行く先々で必要なことを教えてもらえる。ありがたや。お寺で作ったという稲荷寿司を買って出発。

遍路道お寺を出て標識に従って歩き始めるとすぐに、おぉこれぞ遍路道!という田んぼの畦道に入る。う〜ん、いいなぁ。まだ物見遊山気分である。

3番まで約2.6km、40分の道のり。



第三番札所 金泉寺(こんせんじ)

3番金泉寺まだまだ疲れはない(当たり前だ)。参拝するためにザックをおろしていると、すぐ横に休憩している歩き遍路の人がいる。自然と挨拶を交わす。この方、2回目の歩き遍路、今回は逆打ちで巡っているそう。なんと、もうすぐ結願ではありませんか!よぅお参りなされました。

弁慶の力石左の写真は境内にある「弁慶の力石」。
源義経が讃岐の国屋島へ向かう途中にここに立ち寄った際、弁慶が自らの力を示すために持ち上げたといわれる石。一行が上陸した徳島から讃岐にかけて、義経伝説、弁慶伝説はいたるところにある。

遍路道の標識へんろ道保存協力会が立てて下さっている案内標識。今後もずっとこれを頼りに歩いていくことになる。要所要所にあるので、とても助かります。逆に、これが見えないと、とても不安・・・。

田んぼの畦道、お墓の横などを通り、のんびりと進む。途中にお遍路さん用の休憩所があったので(ありがたい!)、昼食休憩。お稲荷さんとお茶でいっぷく。

4番へは約5km、1時間15分。

遍路標識だけを頼りに快調に歩いてきたが、広い道に出た途端に方向が分からなくなった。ここで地図の必要性に気づく(遅いわ!)。歩き遍路のほとんどが、へんろ道保存協力会発行の地図を持っていた。これ、ちょっと読みづらいが、必要な情報が載っていて頼りになります。



第四番札所 大日寺(だいにちじ)

4番大日寺大日寺って、八十八ヵ所のうち3つもあるんですね。初めて知った。本堂では御本尊の大日如来さまが見える!と喜んだが、これは前仏さまでした。

本堂でのお参りを済ませると、大師堂へは右手へ続く回廊を通る。ここで33体の千手観音様を拝見できる。これを知らずに、普通に地面を歩いて大師堂へ進む人が多いが、勿体ないよ!まぁ、かく言う私も、2度目の参拝のときようやく気づいたのだが。

自転車で巡っているという神奈川の若い男性に会う。ここまでは平地ばかりなので、かなり快調に進んでいるらしいが、このさき山になったら大丈夫なのかな?私は記録として各寺の山門の写真をデジカメで撮っているのだが(基本的に境内では撮らない)、彼はデジカメと携帯電話の両方で撮っている。写メールで誰かに送るの?と聞くと、携帯のメモリに八十八ヵ所の山門を全部納めて持っていたいという計画なのだそうだ。う〜ん、そうきたか!

5番へは約2km、30分。
自転車の彼が、「頑張って下さぁ〜い!」と元気な声を残して、気持ちよく追い抜いて行ってくれた。



第五番札所 地蔵寺(じぞうじ)

5番地蔵寺本堂に着くと、自転車の彼がちょうど灯明をあげている。あらら、追いついてしまった。「えっ、速い〜〜!」と驚かれてしまったが、まぁ今日はまだ元気だからね。

2人連れの外国人の歩き遍路を見かける。言葉は達者なんだろう、団体さんにくっついて、先達さん(ガイド役)の説明などを聞いている。境内の大銀杏の写真などを撮りながらゆっくりと過ごし、先を急ぐ様子はない。納経をあたふたと済ませて先を急ぐ巡拝者が多い中、もしかしたら、彼らこそが本来のお遍路のあり方を見せてくれているのかもしれないと思う。

水琴窟左の写真は、珍しい水琴窟
境内にはもう一つあるが、風情があるのはこちら!
竹筒から滴り落ちる水滴が、埋められている甕の中に落ちて、キーンという微かな澄んだ音色を響かせる。暑さも疲労も忘れさせてくれる極上のひとときです。しばし座り込んで聴き入ってしまいました。

奥の院・五百羅漢さんまで歩いて5分。日程にも体力にも余裕があるので、拝観していく。

6番へは約5.3km、1時間15分。
県道から1本裏に入った道を通るが、これは住宅地を抜けるアスファルト道。今日は晴れなのでアスファルトの照り返しがキツイ。ここまで快調にとばしてきたが、最後の1時間でどっと疲労を感じる。



第六番札所 安楽寺(あんらくじ)

6番安楽寺正式名称を温泉山・瑠璃光院・安楽寺という。八十八ヵ所中最大の宿坊を備え、ラジウム鉱泉や薬草の湯などでお遍路さんの疲れを癒してくれる。
ガイドブックのモデルコースでは次の7番までが1日の旅程になっていたが、今日は1番を出発するのが遅かったため、一つ手前のこのお寺の宿坊にお世話になることにする。

安楽寺宿坊宿坊いうと、何となく大部屋に雑魚寝をイメージしていたのですが、案内された部屋は広い個室で、テレビもあり、ポットとお茶・お茶菓子までありました!旅館と違うのは、部屋に鍵がかからない事くらいでしょうか。

大きな宿坊に、宿泊客は6人。梅雨時とあって、歩き遍路は少ないのかな?たまたま団体客がなかっただけかもしれませんが。女性客は2人だけとあって、お風呂は大浴槽は使えず、中浴槽のみ。でっかい温泉を楽しみにしていたので、それだけはちょっと残念でした。

宿坊や遍路宿では、食事の時間が決まっていて、その時刻にはすでに全員の食事が並んでいる。遅刻すると迷惑をかけるので、時間厳守。内容は、刺身あり天麩羅ありのなかなか豪華なもの。お酒が欲しい人には「般若湯」もある〜。食事をしながらお遍路同士の話が弾む。歩き遍路2巡目の方、88番結願を終え1番にお礼参りに向かう人、そして私のように今日歩き始めたばかりの人。先輩方のお話はとてもためになるものでした。

就寝は8時。・・・に寝られるワケがなく、電気を消して横になったものの、なかなか寝付けない。ようやく眠っても、夜中に何度も目が覚めてしまった。遠足を明日に控えた小学生かいっ!

【今日の感想】
お遍路初日の行程は、遍路道らしい所あり、アスファルト道あり。いずれも平坦で歩きやすい道ばかり。お遍路標識を頼りに終始一人で歩く。白衣を着ていると一目でお遍路と分かるので、道を間違えそうになると、必ず近所の人が教えてくれる。それも、仕事の手を止めてわざわざ走り寄ってきてくれる。「同行二人」というが、お大師様だけでなく、道行く人々もまた一緒なんだなと思う。「ありがたい」という言葉が自然と出てくる。

今日の歩行距離 約16km


【今日の出費】
 いなり寿司(昼食) 350円
 五百羅漢拝観料 200円
 ペットボトル飲料 150円
 納経料 1800円 (300円×6)
 宿泊費(1泊2食) 6500円
合計 9000円



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