お遍路・区切り打ち第1回(2)


第2日 2004年5月24日 (7番・十楽寺〜11番・藤井寺)

第七番札所 十楽寺(じゅうらくじ)

7番十楽寺 山門で一礼するお遍路さん朝食は朝6時半。7時に宿坊を出発。約1km、15分の道のり。空は気分よく晴れ、風は涼しく気持ちが良い。
同宿の男性(後述の竹とんぼさん)とほぼ同時に到着、それぞれにお参りをする。

十楽寺にてちょっと荷物を詰めなおそうと、境内の休憩所で整理していると、年配の男性が入ってきて話しかけてくれる。
何とこのKさん、もう300回もお四国をまわっているという超超ベテラン!記念に錦の納め札をいただいた。お守りとして大切にします!また、これから先のために、注意事項や役立つ知識をたくさん話してくれた。本堂の脇の賓頭盧(びんずる)さんを撫でて拝むのも教えてもらった。その上、「次のお寺で待ってるから、気をつけておいで」と。本当にありがとうございます。さて、出発しようと時計を見ると、あらま〜何と1時間も話をしていたのか!しかしこれを時間のロスとは感じない。

8番まで約4km、1時間。アスファルトの道で少々アップダウンあり。でもまだまだ軽い。

道路沿いに「お遍路さん接待所」があり、そこを通りかかると「どうぞ休んでいって下さい」と中から声をかけてくれた。ありがたく寄らせてもらう。お茶とバナナのお接待。暑さに疲れかけていた身体にはとてもありがたい。お遍路さん用の民宿を営んでいるというご夫婦、きっと次には泊めていただくと約束し、納め札を置いて出発する。



第八番札所 熊谷寺(くまだにじ)

8番熊谷寺途中3人の歩き遍路さんを追い抜く。山門に着くと、Kさんが待っていてくれた(Kさんは自家用車)。「あんたにコーヒー飲ませてやろうと思って、お湯沸かして待っとったんじゃ」とは何と嬉しい言葉でしょう。山門は古く由緒正しそうだが、仁王様は新しく色鮮やか、堤燈台はアルミ製。何だ、このアンバランスさは!?

本堂、大師堂へは石段を登る。お参りを済ませると、Kさんが本堂の方へ来いと言う。ん?そっちに何かあったっけ?慌ててついていくと、無人の売店の奥に入っていく。えっ、そんなトコ入っていいの!?
何とそこにはポットとコップ、インスタントコーヒーなどが用意されていた。うわぁ、ベテランならではだなぁとビックリ。Kさんがコーヒーを入れてくれ、お掃除のおばあちゃんと一緒に3人で飲む。インスタントだが、こんな美味いコーヒーは飲んだことないぞ!

ここでKさんとお別れ。Kさんが巡拝で香川にさしかかったら、きっと連絡してねと再会を約束する。

9番まで約2.5km、約40分。

先ほど追い抜いた3人のお遍路さんと同時に出発する。そのうちの一人、信州から来た男性は、私とあまりペースが変わらないので、一緒に歩くことに。なんとこの方(以下信州の「信さん」と記す)社長命令でのお遍路とのこと!歩いて巡拝して得ることの多かった社長が、「管理者たるもの四国を歩く経験をしておくべき」ということで、一週間で阿波一国を歩くという、研修なのだそうだ。費用は会社もち。う〜ん羨ましいかも。しかし信さん、ちゃんとお軸に納経の印をいただいており、阿波一国で止めるつもりはないらしい。うん、ぜひ続けて巡って下さいね!



第九番札所 法輪寺(ほうりんじ)

9番法輪寺へんろ標識の赤いシールに従って歩くと、田んぼの真ん中にこんもりとした一角が見える。これが法輪寺さん。楼門には大きな草鞋が奉納されている。ふだんは見逃してしまうのだが、歩いて巡っていると、こういうものが目に付くなぁ。

お参りを済ませ楼門を出ると、目の前に小さな店がある。表においてあるよもぎ餅が美味しそうだったので、これを昼食にすることに。ゴミになるからと、プラスチックケースからビニール袋に入れ替えてくれる。心遣いが嬉しい。おまけに、今できたばかりの焼き芋をお接待としていただく。1本を信さんと半分コ。あちち、焼きたては格別だぁ。

10番まで約4km、1時間。
途中よもぎ餅をかじりながら、快調に歩く。



第十番札所 切幡寺(きりはたじ)
10番切幡寺
切幡寺は山の中腹にあり、離れたところからもよく見える。うっ、あそこまで登るのか・・・。坂道を登り、仁王門に到着。ふぅ着いた、と思うまもなく目の前には333段の石段。まだ余力はあるものの、思わず「ひえ〜」と声が出る。

333段の石段石段は斜めにジグザグに登ると楽」と信さんに教わり、その通りに登ってみる。あら、ほんと。登る高さに変わりはないような気がするが、実は角度が緩やかになるのだ。快調に登り、本堂に到着する。

大師堂の横、少し裏手に機織娘(観音様)の像がある。本堂→大師堂→納経所、と脇目もふらずに直行するのもよいが、お寺の縁起やいわれにまつわるものを拝見する余裕もほしい。

11番まで約10km、2時間30分。

アスファルトの舗装路が続く。天気は快晴、まったく日陰がない。交通量は少なく、平坦で歩きやすいのだが、アスファルトの照り返しがきつく、体力を消耗する。

途中、電話ボックスのようなところにこの近辺の歩き遍路用の近隣の地図が置いてあった。カラーで見やすい地図、小さく折りたたんであり持ちやすい。ご自由にお持ち下さいとのこと、ありがたく1枚ずつ貰う。後で聞くと、歩き遍路さんたちはみなこれを貰っていた。みんなちゃんと見つけてるんだな。

1つ目の潜水橋畑の中の道を行くと、潜水橋にさしかかる。潜水橋とは、増水時に流されないよう水に沈む、欄干のない橋のこと。車一台がようやく通れる幅の橋、待避所が何箇所かあるが、なかなか危険である。吉野川にはこのような潜水橋がいくつかあるが、毎年数台は車の転落事故が起こっている。雨の日や夜間は特に要注意。

写真左は1つ目の潜水橋、大野島橋。橋ではあるが、足元に水は見えない。あまり長い橋ではないが、私たちが渡っている間にも両側から数台ずつ車が渡っていった。けっこう通行量は多いんだな。

吉野川にかかる潜水橋2つめの潜水橋、四国三郎・吉野川本流にかかる川島橋。これはかなり長く、写真左のように、車が退避できる場所もある。足元は水量豊かな吉野川、待避所のない所で車を避けるのはけっこう危険だ。私は平気なので、端の部分に上がって車を避けたが、高所恐怖の方やバランスの悪い方は止めておくべきで、これはもう車を待たせてでも待避所まで行って下さい。

町内を抜けて歩いていると、農作業をしていたおばあちゃんが、「ちょっと待って、お接待〜」と手を止めて出てきてくれた。よく冷えた麦茶の美味しかったこと!そして、手作りの小袋に入った飴。この袋、1つ作るのに1時間半もかかるという力作。座り込んで、しばし世間話に花を咲かせる。次のお寺では、きっとおばあちゃんのためにもお参りするからね。



第十一番札所 藤井寺(ふじいでら)

11番藤井寺あと少しで藤井寺、というところで「お遍路さ〜ん」との声。そうか、私はお遍路さんなのだ!振り向くと、さきほど「こんにちは〜!」と挨拶をして通り過ぎた家の方が、甘夏をもって追いかけてきてくれた。うっうっ、一日中強い日差しに焙られた身には涙が出るほど嬉しいよ〜。

見事な藤棚藤井寺に到着。境内にはその名の通りの見事な藤棚がある。5月の花の頃にまた訪れてみたい。

藤井寺のすぐ横、ふじや旅館に入る。明日、最大の難所「遍路ころがし」へアタックするには、ここから出発するのがベスト。旅館は歩き遍路で満室、相部屋の方もいる。いかにも遍路宿といった雰囲気の、旅館というよりはむしろ民宿、トイレの鍵も壊れているぅ。レトロな味わいである。

この宿で、昨夜同宿だった名古屋の竹とんぼさんに再会。この方、なんとノートPCを背負っての遍路、その日の記事をその日のうちにHPにアップする、リアルタイムのレポートをしているという。「ボタン1個でも軽く」を合言葉に荷物を減らしている遍路にとっては、まさに驚きである。しかもPCを背負ってのあの健脚ぶり、頭が下がる。竹とんぼさんのHP

夕食時には、遍路どうしの話がはずむ。昨日何度かすれ違った方もいて、「めちゃ歩くん速いやろー!」と数人の方に言われてしまった。あら、見てた?
話をするうち、同県の方がいると分かり、ローカルな地域ネタで盛り上がる。2人して讃岐うどんのウンチクを疲労、もとい、披露し、皆を洗脳する。

部屋にはポットとお茶の用意があり、ありがたい。う〜ん、これならコーヒーを持って来ればよかったなぁ。遍路道には喫茶店がないし、たまにあっても入る気がしないんだよね。カフェイン切れだ・・・。ふすまで仕切られた個室、隣の部屋の人の動きが筒抜け。まだ寝られそうになかったが、8時半に消灯する。

今日の歩行距離 約20km


【今日の出費】
 よもぎ餅 200円 (100円×2)
 ペットボトル飲料 450円 (150円×3)
 納経料 1500円 (300円×5)
 宿泊費(1泊2食) 6800円 翌日のおむすび含む
合計 8950円



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