加茂の大クス

（徳島県三好郡三加茂町賀茂）

一樹、森成す三加茂大楠

田園風景の真ん中に、こんもりと小さな森が見える。なんとものどかな風景。しかしそれは森ではなく、なんとたった１本の巨樹なのである。生い茂る葉。この〜木なんの木気になる木〜♪と思わず歌ってしまうのは私だけではないだろう。 加茂の大クスは、昭和３１年、国の特別天然記念物に指定された。樹齢千余年、根回り２０ｍ、枝張り東西径４６ｍ、樹高約２５ｍ。傘の開けるが如く壮大な樹冠で、よく整った樹容を誇り、まさに日本一である。

大クス公園

公園といっても、大クスの説明を書いた案内板があるだけ、ほかには何もない。この素朴さがいい。日常の喧燥から切り離された静かさ。 大クスには注連縄がかけられ、祠が奉られてある。木もこれほどになると神格化されて当然と思われる。神聖な雰囲気。

少し角度を変えてみたところ。この枝の繁栄ぶり。樹齢千年を越えてなお、この力強さ。間近に寄ると圧倒される。 この木を守るため様々な保護対策が施されている。大事に守っていきたい自然の遺産である。 右下方の赤印は、身長約１６５cmの大人である。対比して、この木がいかに大きいか分かるだろうか。

下から見上げた枝の様子。枝は四方に長く伸び、どの枝も見事に繁っているのに驚かされる。 暑い陽射しは遮られ、木漏れ日と枝を渡る風がとても心地よい。

◇加茂の大クスへ行くには

大クス公園は、国道１９２号線（吉野川南岸の道路）から北へ８００ｍほど入ったところにある。１９２号線三加茂町付近を走っていると、案内板が見えるので、迷わず行けるだろう。JR阿波加茂駅からも１km程度。

この名所案内はじめての、町中の名所である。｢町中｣というのは、｢秘境でない｣という意味ですが。竜ヶ岳・土釜と難所続きだったので、ちょっと気楽に立ち寄れるところをご紹介しました。吉野川沿いをドライブするときには、寄り道してみて下さい。県外にはあまり知られていない穴場です。巨木を見てホッと一息つきたい方にオススメ。

（2001年５月記述）

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