(香川県大野原町五郷)
| 高松自動車道・大野原ICから県道8号線を南下、五郷から山へ入り少し走ると、豊稔池に出る。ここに日本唯一の石積みアーチダムがある。西洋の古城を想わせる、石積みの堰堤。なんとも風格のある姿である。
このダムは、干害から農作物を救うため、大正15年(1926年)3月着工。昭和5年(1930年)3月に完成した。堤の高さ約30m、堤長145m。余分な水を吐き出す5つの穴(余水吐)は、サイフォン式になっている。 設計指導は佐野藤次郎氏。当時、米国で先端技術だったマルチプルアーチ方式を、日本で初めて適用したものである。農家の願いを込めて、豊稔池と命名された。碑文には、ダムの完成で、日照りから逃れ「鼓腹撃壌の楽」を歌い上げることができた、と喜びが表現されている。 それにしても、こんな凄いものが四国にあったとは嬉しい驚きであった。この古めかしい風貌で、しかも現役のダム。文化遺産として保存され、飾られているのではなく、ちゃんとダムとしての働きをしていることが、嬉しさを増してくれた。 |
(ダムの下流の公園より 2000.7.26撮影) (上方からの景観 2000.7.26撮影) |
| 豊稔池のゆる抜きは、下流にある井関池の貯水量が3割を切ったころを目安に、行われる。今年(2000年)初めてのゆる抜きは、7月25日〜26日に行われた。 全部の放水口から放流されるさまは壮観であるが、今年は水量の関係からか、上樋(うわび)と中樋(なかび)と呼ばれる2つの穴からの放水であった。それでも、高さ約20mの放水口から、毎秒約4トンもの水が放出される様は、近くで見ると、轟音と水飛沫が上がり、相当な迫力である。 |
放流された水は、水路を通って走り、下流域の農地を潤す。普段はただの乾いた溝でしかない水路を、大量の水がしぶきを上げて流れていく。豊かな実りの予感。
| 放流された水が水路に流れ込む | 勢いよく流れていく大量の水 |
ダムの下流には公園が整備され、ゆる抜き時には大勢の人が訪れます。本当に「絵になる」景観です。下から見上げるもよし、上から眺めるもよし。
| 上から見たダムと公園のようす。 | 上流の池。アーチ型がよく分かります。 |
香川県・愛媛県・徳島県の接するあたりに位置しています。高松自動車道・大野原ICから県道8号線(観音寺佐野線)を南下、五郷から県道9号線(大野原川之江線)に入り、山の方へ少し上るとすぐに見えます。バス路線は県道8号線まで。やはり車で行きましょう。道路はきれいに整備されています。
ダムでは、歩いて上り下りできますが、車でも移動できます。上・下とも10台程度の駐車場があります。是非とも両方からご覧になることをお勧めします。
下流(ダムの下)の公園に休憩所・トイレはありますが、売店や自動販売機はありません。暑い日には、水筒を持参しましょう。ゆる抜き時や休日にはアイスクリーム売りのおじさんが一人。なんだか懐かしい味でした。
(※2000年7月末記述。数値等の詳しい資料は、四国新聞の記事を参照しました。)
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