四国八十八ヵ所巡礼・お遍路さん



四国では、白衣に菅笠、金剛杖を手に巡礼する「お遍路さん」の姿は珍しくありません。

時代劇にでも登場しそうなこの格好で町を歩いていても、誰も奇異の目で見たりはせず、あたたかい言葉をかけ、「お接待」をしてくれることもあります。ごく自然に。

そう、日常の生活の中に、何の違和感もなく溶け込んでいるのです。



四国の人なら知ってて当たり前!・・・かな?
な〜んとなく意味は分かるけど、本当のところはよく知らない、そんなお遍路さんの基礎知識。

○装束

遍路の装いは、白衣に手甲・脚絆の白装束に菅笠と金剛杖。それは死に装束である。
四国四県、八十八の霊場、約1200kmの道程を徒歩で巡礼することの厳しさが伺える。

そして、身につけるものには「同行二人」の文字。弘法大師・空海さまが常に一緒にまわって導いてくれるという意味である。

札所巡りは、祈りの旅。八十八ヵ所をまわり終えたとき、そこにはどんな自分がいるのだろうか。


白衣
(びゃくえ
背中に「南無大師遍照金剛 同行二人」と書かれている。
遍路であることが一目で分かるので、道を教えてもらえたり、あたたかく見守ってもらえるなど、利点が多い。
四国では白衣の巡礼者は珍しくないので、これを着ることに抵抗はない。

白い手甲(てっこう)、脚絆(きゃはん)もあるが、どこまで揃えるかは自由であり、途中で必要だと思ったときに購入してもよい。「着たくなったときに着る」でOK。
手甲には紐で結ぶタイプと、マジックテープで留めるタイプがある。紐タイプは慣れないと使いにくい。

輪袈裟
(わげさ)
略式の袈裟。白衣の上に首からさげる。上下、裏表があるので注意。
食事時とトイレの時は外す。遍路用品は購入時に注意事項を教えてくれるので、よく聞いておきたい。
意外と役立つのが輪袈裟を留めるクリップ。着けている人は少ないが、個人的にはオススメ。

菅笠
(すげがさ)
日除けや雨具としても役立つ。風通しもよいので蒸れない。実用的で理にかなっている。ちゃんと正しい向きがあるので、購入時に確認しよう。

帽子と違って、お堂や僧侶の前でもとらなくていいのが、菅笠のもう一つの利点。たしかに、門前・本殿・大師堂前でいちいち帽子をとるのは面倒でした(何度も落とした)。

金剛杖
(こんごうづえ)
お大師さまの分身。平地でも山道でも、歩行の助けになります。鈴の音が心地よい。八十八ヵ所を廻り終える頃には磨り減って10cmほども短くなっているとか。

上部に鈴付きのカバーをつけて使い、宿に着いたら自分の足よりもまず金剛杖を洗い、床の間に立てておく。刃物で削らない。
橋の上では杖をつかない。お大師様が橋の下で休んでおられたことがあるから。(今もそこにいらっしゃるかもしれないので)

数珠
(じゅず)
真言宗用の108個の珠が連なる数珠。祈るときだけでなく、厄除けにもなります。歩き遍路の人は、皆これを持っていました。




○遍路用品

山野袋
(さんやぶくろ
山谷袋、頭陀袋(ずだぶくろ)ともいう。線香・ろうそく・マッチ・納札・教本など、参拝に必要なものを入れる袋。これは必需品でしょう。ウエストポーチでは代用できないと思います。

納札
(おさめふだ)
日付と住所氏名を記入し、巡拝の証として、本堂と大師堂の納札箱に納めます。
1回〜白札、5回〜緑札、8回〜赤札、25回〜銀札、50回〜金札、100回以上錦札。(諸説あり)
名刺代わりに交換することもあります。たしかに、巡礼中には名刺より納札の方が相応しいですね。

納札箱に納められている札は、あとから参拝した人がいただいても良いのだそうです。金札、錦札などはお守りになるそうで、大人気。(貴重札をゲットしようとして納札箱に腕を突っ込んでかき回している人をよく見かけますが、これは本来の筋を外しているでしょう)

納経帳
(のうきょうちょう)
各札所で、参拝の証としてご朱印をいただく帳面。納経料300円。
ご朱印を押し、一つずつちゃんと墨で書いて下さいます。ありがたや。

二順目以上の人は、御朱印のみを上から押します。20回も押せば真っ赤で墨字が見えなくなり、それが30回以上になると不思議なことに今度は墨字が浮いて見えてくるそうです。その頃には納経帳の重さが倍くらいになっているとか(50回もまわっている人の談)。う〜ん奥が深いぞ。ちなみに御朱印のみでも納経料は同じ。

納経帳の他に、掛け軸(納経料500円)、判衣(納経用の白衣。納経料200円)にご朱印をいただくこともできます。判衣は冥土への旅のときに着ていくため、という人が多いです。
(判衣は着用しないものなのですが、着て巡拝している人も多いですね。洗濯できないのに・・・。)

地図
ガイドブック
必需品。書店に行けば何種類もおいているので、自分の目的にあったものを選ぼう。歩き遍路には、へんろみち保存協力会発行の地図がよいかも。

ここで先輩からのアドバイス。区切り打ちの場合、ガイドブック1冊丸ごとは必要ないので、今回必要な箇所だけをコピーするなど、少しでも重量を減らす工夫をした方がよい。私は、その部分だけを外して持って行きました。軽い!


○ミニ知識

先達
(せんだつ
八十八ヵ所を何度も巡っている経験者。巡礼初心者を案内し、いろいろと教えてくれます。本で得た知識ではなく、実際に巡った方の生の声は、本当にありがたいです。

順打ち
(じゅんうち)
札所の番号順に、四国を右回りに巡拝する方法。一番霊山寺から始める人が多いが、本来はどこからでもよい。八十八の札所を全て巡って最後に参拝した所が結願寺となる。へんろみち保存協力会が遍路道を整備し、道々に標識を出してくれているが、これは順打ち用なので、初めて巡るときは順打ちがよい。

逆打ち
(ぎゃくうち)
札所の番号の逆の順に、左回りで巡拝する方法。お大師さまは今も順打ちで四国を巡っておられるので、逆打ちなら一度は必ずお大師さま出会えるといわれる。順打ちよりも道が険しく、道標も分かりづらいため、困難。
映画「死国」で逆打ちしてましたね。このため変なイメージを持つ人もいるかもしれませんが、逆打ちは順打ちの3回相当のご利益・功徳があるとも言われるのです。誤解しないでね。
お接待
(おせったい)
これぞ他県の人が驚く、四国の習慣。地元の人が巡拝者に飲食物や休憩所などを無償で提供してくれるというもの。歩き疲れているときにいただく一杯のお茶、一個のミカンのありがたいこと!巡拝者に善根を施すことで、自分も行を積んでいることになるのだそうで、お接待は断ってはいけない。そして、参拝する時には、お接待をしてくださった方のためにも祈るべし。

善根宿
(ぜんこんやど)
歩き遍路のために、善意で無償で宿を提供してくれる人がある。かたちは様々だが、今の時代になお昔と変わらず地元に根付く、この心がありがたい。

別格二十番
数ある番外霊場の中で、別格二十番と呼ばれるものがある。ちゃんと別格二十番用の納経帳もある。このそれぞれのお寺で納経をすると、お念珠(玉)を1個ずつ授かることができる(有料300円。男用・女用あり)。それを20個集めてお念珠をしたてるのだ。完成品は販売されないので、自分で全部まわらなければできない。貴重品だ。


 


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